私は39歳で現在食品の卸売業に勤めています。前職は特許事務所に勤めていました。特許事務所というと華やかな雰囲気で高収入の見込める勝ち組な仕事というイメージを持たれがちですが、私の勤めていた事務所はそうではありませんでした。私は外国事務に所属していましたが、男性の事務は基本的に所長が帰るまで自分から帰ることはできません。残業代は規定の3時間分しか支給されず、それを超えた分はサービス残業になります。23:00を過ぎても帰れないことなど頻繁にありました。また事務長兼副所長の女性は男性事務をホストと勘違いしており、仕事中に自分の買い物に連れ出され、荷物持ちをさせられることがあります。自分のキャリアアップのためにとにかく耐えましたが、大手のクライアントから契約を打ち切られたとき、人員整理が始まりました。高収入の技術者は希望退職を募り、事務職は減給というとひどい有り様でした。そのとき私は転職を決意しました。しかし2年という短い経験ではなかなか他の事務所で採用してもらえず、何十社と面接を受けましたがことごとく落ちました。そしてまだ30代であることから畑違いの新しい分野に挑戦しても遅くはないと信じ、別の業界の仕事も視野に入れて就活を続けました。ハローワークや転職サイトを活用して仕事を探していましたが、ビビっとくるような会社はなかなか見つかりませんでした。ところが就活の帰り道、とある会社の張り紙を見つけました。それは学校給食の食品会社でした。私は特許事務所のようにひとつの大きなクライアントから契約を切られただけで経営が揺らぐような不安定な会社はこりごりだったので、とにかく安定している会社を希望していました。そしてこの会社は学校相手の取引なので安定してるのではないかと大きく期待を膨らませました。幸い私はトラックの運転、営業の経験があったため優遇され、またその会社が張り紙だけの応募しかしていなかったため若くて経験のある私を採用してくれました。前より年収は大きく落ちてしまいましたが、安定して働くことができています。別業界に転職したことに後悔はありませんが、焦らず根強く特許事務所にこだわって就活をしていればもっと良い年収だったのではないかなと思うことはあります。前職の業界に強いこだわりがなければ新しい業界に挑戦することも視野に入れた方がよいと思います。広く見渡せば可能性は無限にあると感じました。
39歳 男性 安定企業で安心生活
